2013年9月15日日曜日

天使の手

「手が天使の手だから、気持ちいいのだと思う。」

そんなもったいない言葉を頂いたことがあります。
これもバイトをした大人の病院での出来事です。


Mさんは私より少し年上の女性で、もの静かな方でした。
家族は御両親を早くに亡くされて、遠くにいるお兄さんだけ。
面会にくる方もいらっしゃらなくて、おひとりで居ることが多かった。

同室の方が面会者といる時間、ポツンとされていたし。
足はむくみがひどく、ひどくだるいのでいつもベッドにいらした。

“Mさん、私今暇なんです。気休めだけど、足をお湯につけませんか?”
いつも気を使われるので、そう言ってみたらうなづいて下さった。
むくみが取れる訳ではないけど、そのくらいしてもいいかな。。
それから何回か受け持ちになると、足浴させて頂いた。


“これくらいしか出来ることがなくて、しかもいい匂いとかなくてごめんね。”
そう言った私に

「気持ちいい。お湯はただのお湯だけど、手が天使の手だからだと思う。」
そんな風に真顔で仰った。
“え~、ありがとう。”
そんな風にふざけてごまかしたけど、涙がでた。


Mさんは、その後あっというまに逝かれてしまった。
お兄さんとも話せなかったのではないかな?
ひとりでどんな気持だっただろう?
深い気持ちまで、話せる関係でなかったけど。
天使はMさんの方だなぁ、今でもずっと私の天使です。

グリーフケアってなんでしょう?
本当は、看取りの場から始まっているのだと思う。
そういう時、頂いた言葉は
何年経っても、じーんと響いていつまでも残る。



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